第2種金融商品取引業の登録を行うための要件については下記の通りです。
法人であれば最低資本金が1,000万円(個人であれば1,000万円を供託します)
その他法人ならば5年以内の刑事罰等が課されていないこと等ありますが、もっとも重要なのは人的構成を如何にするか、です。
具体的には、内閣府令13条、金融商品取引業者向けの総合的な監督指針等を参照にすることになります。
特に、下記がポイントとなっております。(監督指針の一部抜粋です(Ⅴ-3-1)
イ.経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。
ロ.常務に従事する役員が、金融商品取引法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
ハ.行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。
※内部管理部門はチェック機能のことです。 例えば一例を挙げますと、すべての部門(コンプライアンス部門や営業部門)に対して十分な牽制機能が働くように社長直轄の部門として他の部門とは独立した部門とするのが望ましいです。
要は、内部管理部門は営業部門等の行きすぎに歯止めをかけることが期待されています。
また、法令を遵守した業務がなされているか、につきましてもきっちり管理をしていくことになります。
それではその内部監査部門を誰が管理をするかと申しますとこれは代表取締役等が監査を行っていく(内部管理部門の機能が十分に発揮できる機能を構築し、定期的にその状況を確認しているか等)、というようになるわけです。
ニ.営業部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。
※コンプライアンス とは、法令を遵守する社内体制を作る役割のことです。一番重要なのはコンプライアンス部門と営業部門を分けることです。
個人又は従業員の人数が3人以下の会社の場合は、組織としてコンプライアンス 部門と営業部門が明確に分けられていると言い難いため、登録を拒否される可能性があります。
しかし、絶対無理かというとそうでもありません。外部と連携とることもありえます。
実際にコンプライアンス の経験があるかどうかをそれなりに厳格にチェックされますので、経験や知識のあるコンプライアンス担当者を確保することが大切です。
ホ.行おうとする業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。
a.帳簿書類・報告書等の作成、管理
b.ディスクロージャー
c.リスク管理
d.電算システム管理
e.売買管理、顧客管理
f.広告審査
g.顧客情報管理
h.苦情・トラブル処理
ⅰ.内部監査
※a~iまで各それぞれに対応した部署を設けなければならないかというとそういうわけでもなく、いくつかまとめたものをコンプライアンス部門に対応させることも可能です。
不動産ファンドに関する場合(不動産信託受益権を扱う場合)には以下の要件も充足することが必要です(業府例13条4号)。
宅地又は建物の取引に関する専門的知識及び経験を有する役員又は使用人を下記に掲げる部門にそれぞれ配置していること。
(1) 不動産信託受益権等売買等業務の統括に係る部門
(2) 内部監査に係る部門
(3) 法令等を遵守させるための指導に関する業務に係る部門
不動産信託受益権等売買等業務を行う役員又は使用人が、顧客の知識、経験、財産の状況に照らして当該顧客に理解されるために必要な宅地又は建物の取引に関する専門的知識及び経験を有していること。
※この宅地建物の取引に関する専門的な「知識」を有する人員はいわゆる「宅建業の試験」合格者であれば認められうると思われます。さらに宅建主任者であれば「知識」に加え「経験」も認められうると思われます。その他としては、不動産取引の実務をおよそではありますが、約2,3年程の経験があれば認められると思われます。元々行っている業種に照らし合わせて個別具体的な判断がなされることになります。
信託受益権に関する知識、経験ですが、こちらは、適宜、外部研修を受ける等を受けることによって、ある程度カバーできますが、ここは個別具体的な対応が必要です。
よって、これから、新規に不動産信託受益権を取り扱う場合、ご留意が必要となります。