集団投資スキームとは
金融商品取引法(以下法)2条2項5号において
①組合契約・匿名組合契約・投資事業有限責任組合契約・有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権、その他の権利のうち、
②出資者が出資または拠出した金銭を充てて行う事業から生じる収益の配当または財産の分配を受ける権利で、
③除外事由に該当しないものを、有価証券とみなす、としています。
有価証券でないものを有価証券とみなすことで有価証券と同等の規制を及ぼそうとしています。
特に、
「その他の権利」+②+③で集団投資スキームを抽象的に定義し、漏れをなくしましょう、というところが要点となります。
ただ、次のいずれかに該当する場合の権利は有価証券とはみなされません。
1.出資者全員が出資対象に関与する場合として政令で定める場合
(政令:全出資者の同意、全出資者が出資対象事業に常時従事等)
2.配当または分配が出資額を超えない契約
3.保険契約・制度共済契約・不動産特定共同事業契約
4.政令での補充条項 (法第2条2項5号より)
1については出資者全員が出資対象事業に関与する場合、共同事業になり、資金の運用とは異なることから導かれ、
3については、保険は保険業法、制度共済については農業共同組合法や中小企業等共同組合法等の根拠法、不動産特定共同事業については不動産特定共同事業法と、それぞれ対応する特別法があるからであります。
集団投資スキームにかかる規制
例えばある会社が投資家から出資を募る投資事業を行うため、匿名組合形式(通常投資の実務では匿名組合方式が主流です)で出資者をつのる場合、匿名組合出資の持分はみなし有価証券(法2条2項5号)となり、有価証券の扱いとなります。(有価証券につき、金融商品取引法下の様々な規制がかかります)
そして、その会社自身が出資者を募る場合、いわゆる自己募集(法第2条8項7号へ)に該当し、この勧誘行為は法28条2項に規定されている第2種金融商品取引業に該当し、この第2種金融商品取引業の登録が必要になってきます。
さらに、投資家から出資を受けた会社自身(匿名組合営業者)が投資家から集めた資金を主に有価証券(株式等)で運用する際には、投資運用業登録も当該会社による取得が必要になります。
但し、主に(50パーセントを超える場合)有価証券等による運用を行わないいわゆる事業型ファンド(投資家から集めた金銭等を株等の有価証券ではなく、事業にかかる物資等への投資を行う場合)であれば、その場合、投資運用業の登録は必要ではなくなります。
よって、原則として、匿名組合形式で、投資家に勧誘する段階においては「第2種金融商品取引業の登録」が必要となり、集めた金銭で主に有価証券等で運用するならば「投資運用業の登録」、が求められることになります(法2条8項15号ハ、29条)。
第2種金融商品取引業も、投資運用業もそれなりにハードルがありますので上記の規制から外れるためには、特例として、適格機関投資家等特例業務というものもございます。